2021年12月4日土曜日

Gerolamo Cardano の自伝から「6 健康について」

 2次方程式の解法は、だれがあるいはどの集団が、最初に見つけたのか古くてよくわからない。

しかし、3次方程式の解法のあたりは16世紀のことなので比較的くわしく知られている。この3次方程式の解法にかかわった人物の伝記を読み返してみた。その人物とは、医師にして数学者、哲学者、占星術師、賭博師、その他イタリア後期ルネサンス各分野の有名人であった。

ジェロラモ・カルダーノ は、

1501年  北イタリアのパヴィアに生れ、

1576年  ローマで亡くなった。

『カルダーノ自伝』清瀬卓・澤井茂夫訳、海鳴社、1980/11/15 によれば、

この『自伝』は、カルダーノが亡くなる一年前にとりかかり半年ほどで完成させ推敲の余地もなく世を去ったといわれている。

『自伝』の「第6章健康について」は医師であったジェロラモ・カルダーノが冷静に自己を見つめて赤裸々に自身の病について記述している。

カルダーノの苦痛についての考え方は、ユニークである。少しばかりその意味するところを汲み取りにくいが、ここがポイントだと思ったところを引用してみる。

わたしには(みながびっくりする)習慣があった。

という書き出しである。

苦痛の原因がないときにはさがしまわった。何度も病いのもとを求め歩いたのものだ。 快感を覚えるのは苦痛がやっとしずまった時点でのことなのだ。したがってもし苦痛をおこさせるのが自分の意のままになるのなら、簡単にしずめられもしよう。

このあと、苦痛は小さい悪で、苦痛の原因には危険も醜さもないことから、苦痛を自ら自分の肉体に与えたと書いている。

思い立ってわたしは唇をかみ、指をよじり、涙が出るまで左腕のやわらかい筋肉をつねった。今日までしんぼう強く生きてこられたのはそのおかげなのだ。

このようにしてさまざまな病気を克服してきたという。具体的に、悪腫瘍、静脈瘤、心筋梗塞、ひどい出血をともなった痔、きたなくてかゆい湿疹、などなど……

最後のしめくくりは、

自然は多量の病気をかかえているのである。わたしはいまのべた病気を、治療に期待もせずなんら処置も施さないで、自然にまかせてなおした。

 

 


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