ストーリー構成とエピソードがどれも面白く, かなり引き込まれた.
この『海に消えた神々』第2弾は, 「神々」の使われ方がちょっと第1弾とは違っていた.
ネタばれにちかくなるので, ここには細かくは書かないが,
広い意味の情報による世論の誘導というか, 世間の眼を惹きながら巧く困惑させ,
組織が持てる実力を各方面に行使することで,
目的とするものの本質を世間から隠蔽し,
確実に「彼ら組織が目的を果たした」という話が
第1弾では歴史を掘り返しながら, わかりやすく明快に描かれていた.
しかも, その組織というのが ○○ だ! と特定していた.
探偵小説とはいえ思い切って書いたものだと感心した.
今回も, 歴史背景を探るのが謎解きをすすめていくのに重要なのだけど,
それほど大きな組織は, 登場しない.
ただ, 1つだけ重要なことがあるので, 探偵はあまり触れてないので時系列だけ.
それは「失われた大陸ムー」についてのことだ。
昭和六年(1931)
1.1 全国の映画館で, ニュース映画強制上映
4.2 大政翼賛会改組
4.16 日米交渉 米国務長官ハル
12.1 対米英蘭開戦を決定 (御前会議)
12.8 日本軍, マレー上陸, 真珠湾攻撃
昭和十七年 (1942)
5月 ゼ・チャーチワード著, 仲木貞一訳『南洋諸島の古代文化』, 岡倉書房
なかなか興味深いのは, この昭和十七年に出版された訳書によれば, このチャーチワードは, 米国陸軍大佐 であり, 翻訳者は 緒言で, 「原書借覧の便宜を与へられた, 大政翼賛会調査部長 ……」と述べていることだ.
古代ムー大陸の話を持ち出したチャーチワードについて, 米国陸軍大佐と聞いて驚くのではないだろうか. また, 真珠湾攻撃の翌年5月に翻訳が出版され, その原著が大政翼賛会調査部から提供されたということもあわせると…… ??!!!
と, ここらあたりまでトンデモ陰謀説になりそう.
しかしながら, よくネットを調べてみればわかることだが, 現実にはチャーチワードは米国陸軍大佐ではなく, イギリスのオカルト作家だ、というような記述がウィキペディアにあった.
が, あんまり深く調べると, オカルト沼に引き摺りこまれそうで, ここらで引き上げ.
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