今年の夏の最中、とても暑い日だった。
トイレに入って用を足そうとしたときだった、
トイレの北側にある四角い小窓の網に向かって
蜂がなんども出口を探そうとして
もがくような姿勢で飛び回っていた。
その小窓はガラス窓が外から見ると
下部の棒を押したり引いたりすることで、
外に向かって開閉できるようになっている。
小窓を室内側から見ると網でぴったりと締め切られ
蜂は外にでることができない。
では、どうやって入ってきたのか?
秘密は、ガラス窓を開閉するために
下部の棒を外に向かって押し出すことが
できるようになっていて外壁まで貫通する穴が
空いていることだった。
小さな蜂だったのでその隙間をくぐって中に入ったのだろう。
しかし、外からはもぐり込めても、室内側から外へ出れなくなり
蜂は、小窓の四角い網のどこかから外への穴がないか必死になって
いたというわけだった。
やがて私は用を済ませて、蜂がまだ網に向かって突撃しているのを
見て、まあそのうちに出口になる隙間を見つけるかなと
トイレを出た。
が、ちょっと気になりしばらくしてトイレのドアを開けた、
すると蜂はもうあきらめたのか体力が尽きたのか、
弱々しく小窓の網の一点にへばりついて、動こうともしなくなっていた。
あああ、これは……
そこで台所のガラスの小瓶を取ってきて、
トイレに引き返し、小窓の網にしがみついている蜂に小瓶をかぶせた。
蜂は瓶のなかへ転がり落ちた。ほとんど動かない。
私が蜂を瓶に入れたまま玄関を開け、
脇にある花壇の上で瓶の口を下に向けると
蜂はそのままバラの植栽のあい間に飛ぶこともなく落下して見えなくなった。
うーん、手遅れだったか……
ちょっと残念に思っていたのだが、
翌朝のこと、玄関を開け、外に出るとなんと
ハチが飛んできて私の目の前で円を描いたあと
花壇を超えて、飛び去っていった。
あれは昨日の蜂だったのだろうか?
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